ガイア(地球)は 人類をいつまで食わせてくれるのか!?

私たちの未来、想像していますか? 
未来に実際に何が起きているかを予想するのは誰がやっても不可能なことですが、想像はできる。というのも未来は無からできるわけではなく、現在の延長線上にあるからで、今現在起きている社会的な出来事や問題点を注意深く見ていくと、ある程度の“読み”はできるわけです。
今回からしばらく、このコーナーであなたと一緒にその“読み”をやっていきましょう。お付き合いください。
未来生活研究所/新田茂樹
 
世界を悩ませる「すでに起こった未来」
ガイア(地球)は
人類をいつまで食わせてくれるのか!?

◆急接近中! 世界人口100億時代
30年後50年後の未来を想像したときにまず浮かぶのが、世界の人口はどこまで膨らんでいくのか? という点です。
これまでの世界人口の推移をおおざっぱに言うと以下です。

1900年 20億人
1960年 30億人
1974年 40億人
1987年 50億人
1999年 60億人
2006年 65億人
とにかく20世紀に入ってからの人口増はまさに爆発的ともいえる増え方だったわけです。

今後はどうかというと、2017年6月21日に国連が発表した「世界人口予測2017年改定版」によれば、毎年約8300万人の人口増によって、現在76億人の世界人口は、2030年までに86億人、2050年に98億人、そして2100年には112億人に達すると予測されています。減ることはない、増えることは確実、という先(未来)が見えています。

ではどこでそんなに増えるのか。中国、インドのあるアジア?
私たちのいるアジアは人口のボリュームはありますが、2015年時点で44億人、2050年時点で53億人、2100年には49億人と予測されていて、今世紀後半のアジアのでは人口減少局面を迎えると予測されています。

ではどこ?
アフリカです。
2015年時点で12億人だったアフリカの人口は、2050年には25億人、そして2100年には44億人へと、85年間で32億人増加していきます。その間の世界人口の増加予測が40億人くらいですから、人口増加分の8割超をアフリカが占めることになります。
ですからいい意味でも悪い意味でも「アフリカ」に世界は注目せざるを得ません。

ちなみに日本では人口の減少が現実のものとなってきていて、ピークの2008年1億2,808万人を境に、現在では1億2,670万人(平成29年12月1日時点)にまで減少しています。このような人口の減少傾向は、まだまだ一部の先進国のみの傾向であり、世界全体の人口増の勢いは止まりません。

それはなぜかというと、先進国では高度医療が発達し、平均寿命が伸び、出生率が低下して総人口が減少していくとされていますが、一方で、インドやアフリカ諸国をはじめとした発展途上国では、もともとの出生数の多さに加え、医療技術の向上で乳児死亡率の低下や平均寿命が伸び、結果、人口増加の勢いが加速していくというわけです。

◆環境問題と食料問題は一蓮托生
地球規模で見ると将来(2050年頃、いまから約30年後)の地球人口は、ここではざっと100億人としましょう。その100億人を地球(ガイア)は食べさせていかなければならないのですが、問題はその食糧生産力です。

作物を栽培する耕地面積の増加は人口増加の勢いに比べると微々たるもの。FAO(国連食糧農業機関)の統計では、過去50年間に作物栽培地面積は1961年の13.7億ha(ヘクタール)が,2009年には15.3億haにしか増えていません。人口は倍になっているのに。

ではなぜ人類はこれまでの人口増に適応できているのでしょうか。それは農業の生産性UPがあったからです。農業の機械化、そして灌漑による生産力向上で、世界の農業生産は2.5〜3倍に増加して来れたので、こうした恩恵(人類の努力?)があって今まで人類は食べて来れたわけです。

この生産性UPが今度どのくらい持続できるのか。バイオテクノロジーの進化のスピードは速いのですが、量的にこれからプラス24億人、合計100億人もの胃袋を支えるほどの期待を持っていいものかどうか。この辺は難しい“読み”になります。

これまでの統計からみても世界の耕地面積がどんどん増えるということはないでしょう。また、食糧の問題は水問題とも合わさっています。この水問題は地球温暖化、森林破壊、砂漠化といったガイアの地球と大地のダメージと無関係ではありませんので不確定要素が大きいのが難点です。

◆食糧問題は貧困とも密接に関係
そして食糧の問題は「飢餓」の問題も同時にクローズアップされてきます。
国連の「食料安全保障と栄養の現状に関する報告書2017年版」において、過去10年間減少してきた飢餓人口が2016年に反転、増加へと転じ、世界の人口の11%に当たる8億1500万人に達していることが発表されています。
この飢餓人口の拡大は、地域紛争の種が拡大していることと同じですから、「食べる」という問題を解決せずして平和な社会構築はありません。

ちなみに同報告書において以下も報告されています。

・肥満の成人=6億4100万人(世界の成人人口の13%)

飢餓の反対側に何があるのか。これは私たちの生活を顧みると浮き彫りになります。この辺はまた別の機会に検証していきましょう。

人口増と食糧問題は表裏一体の問題で、日本は人口が減っていくんだから関係ない、なんてことはありません。日本の「食料自給率(カロリーベース)」は現在、先進国中最低の38%。私たちの食卓にのる食べ物の大半は海外からはるばるやってきたもので、もはや世界と縁は切れない状態です。日本人の胃袋は海外に握られているのです。
なので将来、食料の需要と供給のバランスが崩れると、食料の価格は高騰し、手に入らないものが増えます。そしてこれが慢性化してくると従来の食生活を変えざるを得なくなります。
今私たちがやれることはまず足元から。灯台下(もと)暗しです。今日の食事、昨日の食事、五日前の食事を顧(かえり)みて、食に対する意識と関心を高めることが大事です。「食」をないがしろにすると食べさせてもらっているガイア(地球)に失礼ですから。そうそう、食品ロスもね。
まずは私の、あなたの暮らしから。

*食品ロス
売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来は食べられるはずの食品が廃棄されること。日本の「食品ロス」は年間646万トン(環境省資料)。これを日本人1人当たりに換算すると、毎日お茶碗約1杯分(約136g)のご飯の量を捨てていることになる。
ちなみに国連世界食糧計画(WFP)は2016年に世界82カ国で約8,200万人に対し約350万トンの食料を配布しています。
どうです? 日本の「食品ロス」って問題あり! と思いません?

 

#環境 #地球 #未来